明晰夢の歴史

当サイトではアフィリエイト広告を利用しています。

明晰夢の新しい技法について語る前に、明晰夢の歴史について概説します。

かつてはオカルトと考えられていた明晰夢は、誰にでも起きる現象だということが判明して、科学的な調査の対象となりました。

明晰夢の歴史

「明晰夢(Lucid Dream)」という言葉は、オランダの作家で精神科医のフレデリック・ファン・イーデンが 1913 年の論文『夢の研究』で使用したもので、彼の造語です。

Lucid Dream という言葉を作ったイーデン(画像はパブリックドメイン)

しかし明晰夢という現象は、ずっと前から人々の間で認識されていました。

古代

インド発祥のヨガには、「ヨガニドラ(ニードラとも)」というものがあります。ヨガニドラは直訳すると「ヨガ的な眠り」という意味になりますが、仰向けに寝ながら、眠りのギリギリ手前の意識状態を保って瞑想するもので、そこで体験するものは明晰夢といって良いものです。

チベット仏教の「夢ヨーガ」も明晰夢にアプローチするものです。スティーブン・ラバージの名著「明晰夢-夢見の技法」にも、チベットの僧は一晩中意識を明晰に保つことができる旨のことが書かれています。

古代ギリシアでは、哲学者アリストテレスが「人が眠っているとき、意識の中に、そのときに現れているものが単なる夢であると宣言する何かがあることがよくあります」と書いており、彼も明晰夢をよく見ていたことを伺わせます。

ローマ帝国時代、有名なペルガモンの医学者ガレノスは、明晰夢を病気を治す一種のセラピーとして使用していました。

スポンサーリンク

近世

イギリスの哲学者で医師のトーマス・ブラウン(1605~1682)は、代表的な著書『レリギオ・メディキ』の中で、明晰夢を見る自身の能力について語っています。

トーマス・ブラウン(画像はパブリックドメイン)

同じく17世紀のイギリスの政治家で作家のサミュエル・ピープス(1633-1703)は「イギリス海軍の父」と呼ばれるほどの功績を残しましたが、一方で1660年から1669年にかけて書いた日記でも知られています。日本でも『サミュエル・ピープスの日記』(全10巻)として刊行されていますが、この中にも夢の記述があって、彼が明晰夢を見ていたことが記されています。

サミュエル・ピープス(画像はパブリックドメイン)

近代

1867年エルヴェ・ド・サン・ドニ侯爵は匿名で『夢の操縦法』という本を刊行します。この本は夢研究史上の古典とされていますが、そこでは二千夜近くにわたった自らの夢日記を分析していて、彼が明晰夢を見ていたこと、加えて、意識的に夢を見ることは誰にでも可能だとして、その方法が示されています。

エルヴェ・ド・サン・ドニ侯爵(画像はパブリックドメイン)

1913年オランダの作家で精神科医のフレデリック・ファン・イーデンが 『夢の研究』と題した論文を発表し、そのなかで初めて「明晰夢」という言葉を使っています。

しかし、明晰夢の実証的な証拠が不足していたこともあって、科学の世界では明晰夢のことは50年以上無視されることになりました。

スポンサーリンク

現代

現代になって明晰夢は科学的なアプローチの対象になってきます。

1968年 英国の女性超心理学者で作家のセリア・グリーン(1935~)が 『Lucid Dreaming』という本(邦訳なし)を出版します。この本は、それまでの明晰夢に関する文献と彼女自身が集めたデータを合わせて、多くの明晰夢の事例を分析し、通常の夢とは違う、別のカテゴリーの夢であるとしています。また、明晰夢とREM(急速眼球運動)睡眠との関係も示唆しています。

セリア・グリーン「Lucid dreaming」

1975年 英国のハル大学でキース・ハーン博士が明晰夢の存在を証明することに成功します。

その方法は、明晰夢を見ることに習熟したアラン・ワーズリーという人物と協力して、ワーズリーがREM睡眠中にあらかじめ決めてあった目の動きをしてもらい、それを眼電図を使って記録する、というものでした。こうして明晰夢を見ているという合図が記録されたのは1975 年4月12日の午前8時頃のことでした。

https://www.keithhearne.com/ (ハーン博士の公式ページ:英語)

ハーン博士の実験は、心霊研究協会の雑誌に掲載されましたが、科学雑誌には掲載されませんでした。

1980年になってスタンフォード大学の精神生理学者スティーブン・ラバージ博士(1947~)が登場します。

博士は、より複雑な明晰夢に関する実験を行っています。

たとえば、明晰夢を見ている人に1から10まで数えてもらい、目の動きで最初と最後を教えてもらうことで、夢の中の10秒と現実の10秒が同じであることを示したり、明晰夢中でも歌を歌うときと言葉を話すときで脳の働く場所が異なることを発見しています、

ラバージ博士は著作も多く出しています。代表作「明晰夢-夢見の技法」。

また、自身や他の研究者が自由に明晰夢状態に入ることを可能にする技術を開発しました。代表的なものが、多くの夢実験でも使用された MILD (記憶によって誘発される明晰夢)法 です。

以降、明晰夢は科学的な研究対象となっていきます。
PubMed には、200件以上の明晰夢に関する科学論文が載っています。

スポンサーリンク
error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました