2024年のアメリカ大統領選挙まであと2か月を切りました。
この記事を書いている時点では、民主党ハリス氏と共和党トランプ氏のうちハリス氏がやや優勢という報道が多いようですが、過去の例から考えて、どちらが勝利するのかは最後まで(というか、最後になっても)わからないようです。
一方で選挙結果は、為替や株価の変動など、私たち日本人の暮らしにも影響を与えますので、無関心ではいられない人も多いことと思われます。
この記事では、過去に行われた選挙に対して、リモートビューイング(遠隔透視)がどのように実施されて、その結果がどうだったのか(当たったのか外れたのか)について書いています。
注:この記事は2024年大統領選挙の勝敗を予測するものではありません。
注:最初の1つを除いて、リモートビューイング(遠隔透視:RV)のなかでもARV(連想リモートビューイング)が使われています。ARVは直接ターゲットを透視するのではなく、ターゲットに関連付けられた画像を透視するものです。ARVについては、「超能力を使って投資で儲ける法」を参照ください。
1.世論調査では大統領選の勝敗がわからなくなった!?
そもそも米大統領選挙では、頻繁に色々なメディアで支持率調査が行われていますので、それを見れば結果は予測できると思われるかもしれません。しかし、最近の選挙では世論調査の結果があまり当てにならなくなってきました。
予測のプロたちは、世論調査のほかに、人口統計、激戦州の高度な分析を組み合わせた複雑なアルゴリズムに基づいて予測を行っていますが、それでも2016年の大統領選(ヒラリー・クリントン 対 トランプ)の勝敗予想を外したプロが多かったようです。
たとえば、統計学者で予測分析の著名な専門家であるネイト・シルバー(Nate Silver)は、ビッグデータ手法を使用して、2008 年の選挙では 50 州のうち 49 州を、2012 年の選挙では 50 州すべてで大統領選挙の結果を正しく予測しました。が、2016年の選挙ではクリントンが勝つ確率は77~99%としたものの、実際にはトランプが勝利しています。
2020年の選挙(バイデン 対 トランプ)でも専門家の予測は外れたものが多かったようです。
2.2012年 民主党 バラク・オバマ 対 共和党 ミット・ロムニー
選挙結果 ◎民主党 バラク・オバマ 対 共和党 ミット・ロムニー
選挙人数 332人 対 206人
得票数(得票率) 65,915,795(51.06%) 対 60,933,504(47.20%)
2012年の大統領選では、デブラ・リン・カッツら3 人の研究者が共同で「遠隔透視(リモートビューイング)によって、選挙の結果を予測できるほど詳細に当選者を説明できるか」という実験を行っています。
この実験には、11 人のリモートビュアーが参加しましたが、セッション11回のうち8回でオバマの特徴と一致したことで、オバマを勝者と予測しました。
しかし一方で、モノではなく人を透視の対象とすることの難しさも明らかになりました。
人は共通点が多すぎます。とくにオバマとロムニーの場合は、肌の色の違いはあれ、ともに細身で長身で、年齢も同じです。
たとえば、あるリモートビュアーによって(透視された勝者の)スケッチ絵がありますが、どちらを指したものでしょうか?
実際に遠隔透視された大統領選挙勝者のスケッチ絵とオバマとロムニーの顔写真 https://www.researchgate.net/figure/fig1_317342079
また、ビュアーのターゲットを描写する言葉がビュアーによって異なることが問題になりました。
この実験では、2 人のビュアーが勝者の肌の色を「濃い」と述べ、もう 1 人は「薄い」と述べました。「濃い」と述べたビュアーは白人で、「薄い」と述べたビュアーはアフリカ系アメリカ人でした。
「薄い」というのは、透視が誤っていたわけではなく、オバマ氏は白人よりも肌が濃いですが、アフリカ系アメリカ人の血統 (父方の家族) にしては、より色白なので、「薄い」という描写になった、と考えられました。
3.2016年 民主党 ヒラリー・クリントン 対 共和党 ドナルド・トランプ
選挙結果 民主党 ヒラリー・クリントン 対 共和党 ドナルド・トランプ ◎
選挙人数 232人 対 306人
得票数(得票率)65,844,610(48.1%)対 62,979,636(46.0%)
選挙結果は、ご存じの通りトランプ氏の勝利に終わりました。
主なメディアは選挙前の数日間に行われた全国世論調査からヒラリー氏の勝利を予測しており、トランプ氏の勝利は驚きをもって迎えられました。
トランプ氏は獲得した選挙人の数はヒラリー氏より多いですが、得票数では290万票も少ないものでした。
2016年の大統領選挙では主に3つのリモート・ビューイング実験が行われました。
1)2016 APP カンファレンス の予測
APP は、「Applied Prediction Project:応用予知プロジェクト」 の略で、ARV(連想リモートビューイング)による未来予知の研究と実践を行っている最大の組織です。年2回カンファレンスを開催するほか、予知など超能力に関するビデオや記事を発表しています。
APP内にはいくつもグループがあって、それぞれのグループが競馬やロトや株式市場の予知などのテーマを選んでプロジェクトに取り組んでいます。
2016年に開かれたカンファレンス(会議)で大統領選挙の予想が行われています。
詳細はわかりませんが、「ヒラリーは米国初の女性大統領になるか」という問いについてARV(連想リモートビューイング)が行われ、イエス 4に対してノーが7、パスが2ということで、APPでは大半の世論調査とは異なり、ヒラリー氏の敗北・トランプ氏の勝利を予測していました。
2)Facebook グループ「Remote Viewers and Remote Viewing」の予測
ダズ・スミス というリモートビューイング研究者が主催している Facebook グループ「Remote Viewers and Remote Viewing」内で、各メンバーがARV(連想リモートビューイング) を使用した大統領選挙の勝者予想を行い、その内容を投稿しています。
結果は 30 人のリモートビュアーがトランプ氏の勝利を予測して、17 人がクリントン氏を予測しました。→ 的中
3)デブラ・リン・カッツ のARV 実験
2012年に遠隔透視(リモートビューイング)実験を行っているデブラ・リン・カッツも予測実験を行っています。今度は通常のリモートビューイングではなく、他の2つと同様にARV(連想リモートビューイング)を使用しています。
デブラが行ったのは、上の2つより本格的なARV実験でした。
41人の中程度から高度な経験を持つ 41 人のリモートビュアーに将来見ることになるフィードバック写真を透視するという課題が与えられ、ビュアーは1週間後に透視した内容をスケッチした絵(リモートビューイング用語でトランスクリプトと言います)を提出しました。
結果は、41枚のトランスクリプトのうち、用意していた写真に関連性が認められたのが19枚あり、残りはパスされました。19枚のうち、8枚はヒラリー・クリントンを指しており、トランプと関連付けられた絵に近いものは3枚しかありませんでした。
そこで、デブラのARV実験では、ヒラリー・クリントンが大統領になると予測されました。
大統領選後、なぜデブラのARV(連想リモートビューイング)が外れたのか、盛んに論議されています。指摘された点は主に次の3点です。
・問いの立て方に問題があった?
この実験の問いは「クリントンとトランプとどちらが選挙に勝つか」というものであったと思われますが、「人々はどちらの候補者に投票するか」というようにとらえれば、クリントンが勝ったとも言えなくもありません。
この選挙の認定された最終結果によると、クリントンはトランプよりも得票率にして2.1%、得票数で290万票近くも上回っています。クリントンは大統領選挙の仕組みのせいでたまたま大統領にはなれませんでしたが、投票した人の思いはクリントンの方に多く向けられていたということになります。
・ビュアーの嗜好が影響した?
リモートビュアーには実験が大統領選挙の予測を行うものだとは知らされませんでしたが、時期や漏れてくる情報から、参加者の多くは実験の目的をほぼ感づいていたようです。参加者の多くはリベラルな考えを持っており民主党支持者でしたので、それが影響した可能性があります。(サンプル数が少ないので結論は出せていません)
・リモートビューイングが見る未来は「確定した未来」ではない
未来の出来事は、以前から起こることが運命的に決まっているものではないと考えられています。
その考えでは、起こる可能性は、時間の経過とともに変化するもので、リモートビューイングが見る未来は、透視した時点でもっとも起こりうる未来だとされています。(このあたりの理論は量子論で説明されていますが、ここでは省略します)
したがって、透視した後に起こった出来事によって、結果が変わってしまうのは仕方がないというわけです。
この考えについては、次の2020年大統領選挙の総括の項で再度取り上げます。
4.2020年 民主党 ジョー・バイデン 対 共和党 ドナルド・トランプ
選挙結果 ◎ 民主党 ジョー・バイデン 対 共和党 ドナルド・トランプ
選挙人数 306人 対 232人
得票数(得票率)81,283,501(51.31%)対 74,223,975(46.85%)
バイデンが勝利した2020年の大統領選挙でもリモートビューイング実験が行われています。
手法はARV(連想リモートビューイング)によるものです。
1)2020年 APP カンファレンス の予測
2016年にトランプ勝利を的中させたAPP「Applied Prediction Project:応用予知プロジェクト」の2020年のカンファレンスは、10月に開かれました。コロナ禍の真っ最中とあって、100%リモート会議で行われています。
過去2回独自の実験を行っているデブラ・リン・カッツも、こちらのAPPのカンファレンスに参加して、実験をリードしました。
タスクの質問は「ドナルド・トランプは2021年1月20日に大統領に就任するか?」というものでした。これは前回の選挙における質問の内容の反省にたったものです。
リモートビューイングの結果は、21人 の予測のうち、17人 がトランプを指し、「トランプは就任しない」はわずか 4人でした。現職大統領の勝利を圧倒的多数で予測したわけです。
というわけで、このリモートビューイング自体は、はじめて大外れとなってしまいました。
その原因について、先ず指摘されたのは、結果に関連付けられた画像の問題です。
トランプの勝利に関連付けられた写真は、印象的で神秘的で他の写真よりもはるかに興味深いものだったのに対して、トランプの敗北の写真は退屈でつまらないものでした。
リモートビュアーが魅力的な写真にひきつけられたために結果が狂ってしまった、と考えられました。
次に、間近に迫った11月3日の選挙の結果ではなく、3か月後の結果の予測になってしまったことも要因として考えられました。
先に述べているように、リモートビューイングが見る未来は「確定した未来」ではなく「もっとも起こりうる未来」であるため、時間が近ければ近いほど予測が的中する確率は高くなり、予測と出来事の時間が離れれれば離れるほど的中率は低くなります。
リモートビューイングの的中率が1日離れるごとにどれだけ低くなるかについて調べる試みをも行われており、それを見ると、2%から5%の間と推測されています。仮に5%と仮定すれば、3か月前のリモートビューイングはほぼ当たらないことになります。
2)フランクの実験
フランクは、アメリカ版5ch ともいわれるReddit のなかで、リモートビューイングのSubredditグループのモデレーター(ハンドルネームはfrank&friends)です。
フランクは、2019 年 12 月から参加しているリモートビュアーに依頼して、2020 年の米国大統領選挙を予測できるかどうかのARV 実験を開始しました。
彼はこの実験でオンラインコミュニティによるリモートビューイングの可能性を探るとともに、時間経過に従ってARV(連想リモートビューイング)予測の信頼性がどう変わるかを調査することを目的にしていました。
この実験には18人のリモートビューアーが参加し、9つのセッションを行いました。
フランクによると、最後の2つのセッションで、バイデン勝利を的中させたということで、やはり透視するイベントとリモートビューイングが時間的に近い方が当たりやすいという結果になりました。
この実験には、先のデブラからは手順の不備が指摘されており、これだけで結論を出すわけにはいきません。が、透視はイベントのなるべく近い時点まで待って行うようにした方が良さそうです。
5.感想とまとめ
選挙の勝者を予測する場合、直接勝者を透視することは両者の姿に明確な違いがないと難しいようです。
そのためARV(連想リモートビューイング)が使われることが多いです。
しかし、ARV(連想リモートビューイング)の的中率は、一般的なリモートビューイングより低いです。
超能力とリモートビューイングの研究で知られる ダズ・スミス(Daz Smith) によると、一般的にリモートビューイングの的中率は75%を楽に超えるのに対して、ARV の的中率は 55%から68%程度 だそうです。
ARV の的中率を高めるためには、
1)関連付けする複数の写真が、互いに区別しやすく、魅力度に差がないこと、
2)透視するイベントまでなるべく時間的に近いときに透視すること
が重要になってきます。前者については、今後はAIの生成画像を用いるのが良いように思われます。
なお、ARV の的中率が6割強に過ぎないといっても、数千回数万回の試行でこの数字をキープすることは、偶然にはほぼ起こりえない(数千分の1以下の)確率になります。的中率6割でも投資などに応用すれば、利益が期待できるかもしれません。